「あ〜来週の結婚式、行くの嫌だなぁ……」
「結婚式は晴れ舞台」と言われるし、実際そうだと思う。だけど、自分のように内向的だったり、コミュニケーションが得意ではない人にとっては、まるで試練のように感じられるイベントでもある。
新郎新婦への祝福の気持ちはあるのに、人が大勢集まる場所へ行くとなると途端に気持ちが重くなる――。このギャップに苦しむのは、決して私だけではないだろう。
この記事では、まず「なぜ結婚式がしんどいのか」を改めて見つめ直し、次に「実際にしんどかったエピソード」を紹介。そして最後に、少しでも負担を減らすための工夫や心構えをお伝えしたい。無理をしなくても、ちゃんとお祝いできる方法を一緒に探してみよう。
なぜ結婚式参加がつらい? 人見知り側の視点
陽キャにはわからないかもしれないが、人見知りのコミュ障にとって結婚式場は地獄である。
多種多様な人と交流する場面が多い
会社の上司や同僚、学生時代の友人、親戚など、さまざまなコミュニティからゲストが集まるのが結婚式。
自分が知っているのは新郎新婦や数人の友人だけで、初対面の人がほとんど――そんな状況に緊張を覚える人は少なくない。
正直人見知りには相当な苦痛である。
久しぶりの再会や初対面の会話が苦手
「最近どうしてるの?」と声をかけられてもうまく返せない、話のきっかけがつかめない……。
同じコミュ障仲間がいればまだ安心だけど、テーブルで自分だけ浮いてしまう恐怖もある。
同じテーブルで周りの人が盛り上がっているのに、一人だけ黙々と料理を食べたりしてるのきついよね。
長時間のイベントで息が詰まる
挙式→披露宴→二次会と参加すると、半日以上も知らない人と同じ空間で過ごすことになる。
トイレに立ったりロビーでひと息ついたりはできるものの、常に「何か会話しなきゃ」「場を盛り下げないようにしなきゃ」という無言のプレッシャーがのしかかる。
普段はスマホを見てればいいが、結婚式だとスマホを見ているわけにもいかない。うん、苦痛。
場の華やかさとのギャップ
結婚式は華やかで活気ある場所。演出やスピーチ、写真撮影のタイミングなど、ハイテンションを求められるシーンが続くことも。
内向的な人ほど、テンションとのギャップに疲弊しやすい。
というかカメラ向けないで欲しい。
あいたくない人や嫌いな人に合う可能性が高い
結婚式は「同窓会」のように過去の人間関係と相対する可能性が非常に高いイベントです。
必然的にあいたくない人や嫌いな人と合う可能性が高くなり、嫌な気持ちになりやすいです。
結婚式でコミュ障が実際に感じた「しんどい」エピソード
エピソード1:「まわりは知らない人ばかり」
式場の扉をくぐった瞬間、私は息をのんだ。シャンデリアが煌めく広々とした披露宴会場。ウェルカムドリンクを手にする人たちの楽しげな声が響き渡る。その賑やかさに「ここはちょっと場違いかもしれない」という思いが頭をかすめる。受付を済ませて席次表を手に取ると、テーブル番号は見覚えのない名前ばかり。
「あれ? 共通の友達ってもっといたはずだよね?」という一抹の不安が一気に膨らむ。
なんとか期待をつないでテーブルに向かうものの、到着した席にはまるで知り合いゼロ。周囲の人たちは、既に顔馴染みらしく盛り上がっている雰囲気で、私のことなど見向きもしていない。
「隣の人に挨拶くらいしなくちゃ……」と思うのに、言葉が出てこない。何を話せばいいのか頭が真っ白になってしまうのだ。自己紹介をするタイミングを逃し、隣には目が合うたびに微笑むだけの無言時間が続く。周りが「いつもありがとう」「この前の飲み会すごかったよね」なんて会話で盛り上がる中、私はひたすら笑顔を作って相槌を打つふりをする。
料理が運ばれてくるとき、「少しは打ち解けるきっかけができるかな」と期待するものの、私以外のメンバーが「この前はあんなことがあったよね」と勝手に話に花を咲かせてしまい、結局入る隙がない。食事が始まっても気まずさは増すばかりだ。普通なら「どこから来られたんですか?」とか「新郎新婦とのご関係は?」といった会話が生まれるものだろう。しかし私の口は完全に凍りつき、心の中で「早くこの時間が終わってほしい」と祈るばかり。
さらに追い打ちをかけるように、近くのテーブルから爆笑が沸き起こると、相対的にこちらのテーブルが静かなのが余計に際立つ。私が原因で場がシラけているように感じてしまい、どんどん自己嫌悪に陥ってしまう。「ああ、隣の人がひょっとして話したがっているのに、私のせいで…」とひとり勝手に考えてはいたたまれなくなる。
周囲に仲のいい友人が1人でもいてくれれば、こんなに辛い思いをしなくて済んだかもしれない。でも現実にはどうしようもない席の配置。「式が進行すればいずれ新郎新婦の入場や余興で場が切り替わるから、それまで耐えよう」
――そう自分を励ましながらも、前菜を口に運ぶ手が微妙に震えるほど、緊張しっぱなしの時間がずっと続くのだ。
エピソード2:「二次会まで参加してエネルギー切れ」
披露宴が終わる頃には、正直もうヘトヘトだった。最初の乾杯から出席者の挨拶、友人代表のスピーチ、ケーキカット…と、一つひとつのイベントを見守るうちに、体力より精神力がごっそり削られていた。人と話すことだけでも苦手なのに、周りの浮き立った空気に合わせて笑顔を作ったり、相槌を打ったりするだけで神経は限界に近い。
そんなタイミングで、新郎新婦がにこやかな笑顔で「二次会も来てくれるよね? みんなでワイワイしよう!」と声をかけてきた。彼らは悪気があるわけじゃない。むしろ好意で誘ってくれている。でも私の頭の中では「もうこのまま帰りたい…」「言い訳ってどうやってすればいい?」という考えが渦巻いていた。
しかし、心の準備をする暇もなく、二次会の会場への移動が始まる。断れる雰囲気ではない。みんなが「行こう行こう!」と勢いづいていて、「そっか、せっかくだし一緒に行かなきゃ…」と自分を納得させるしかないのだ。
いざ到着した二次会のバーは、さらに自由度が高い分、どこに立っていればいいのかすら分からない状況。あちこちで「久しぶり!」と抱き合う人、「大学以来だね」と盛り上がるグループ、写真を取り合う人々――熱気にあふれていて、私ひとりだけ浮いているような感覚に陥る。披露宴でも結局うまく馴染めなかった私は、ここでもどう振る舞えばいいのか分からない。
時間が経つにつれ、お酒が入って陽気になった人たちが増える。絡まれることを恐れて隅に身を潜めたいのに、空気を読んで「ここでシラけちゃダメだよな…」と変な責任感が働く。結局、気乗りしないままグラスを手に取り、へたくそな笑みを浮かべながら学生時代の知り合い程度で仲良くない相手に相づちを打ち続ける私。
そのうちさらにゲームタイムが始まり、「みんなで円になって自己紹介」なんてことに。もうそこまで来ると頭は真っ白。「今さら参加しても場違い感が強すぎる…」と思いながらも、周囲の視線は私にも注がれる。心臓の鼓動が止まらないほど早くなり、顔が熱くなる。気の利いたコメントも浮かばず、声を出してみるものの、自分が何をしゃべっているかまるで分からない。
そんな状態で気力を使い果たし、帰る頃には「もう何も考えたくない…」という境地に至る。頭も体もフラフラで、家路についたときには完全にオーバーヒートしていた。せっかくの誘いを断れなかった自分にもイライラし、何より「なんでこんなにみんなは楽しそうにできるのに、自分はこんなにつらいんだろう」と自己嫌悪がひたすら押し寄せる。楽しかったはずの結婚式が、私には大きなダメージを残して終わったのだ。
エピソード3:「スピーチを急にお願いされて混乱」
元々、人前で話すのが極端に苦手だ。学生時代のプレゼンや朝礼のスピーチでも、いつも手が震えて声がかすれてしまうタイプ。だから結婚式の二次会や披露宴での「代表スピーチ」と聞くだけでも、尻込みしてしまう。
にもかかわらず、ある結婚式では披露宴の途中に新郎新婦から突然「ちょっとみんなの前でコメントもらえない?」とお願いされてしまった。どうやら本来スピーチするはずだった友人が遅れているとかで、代打を頼みたいらしい。「え、無理無理無理!」と一瞬頭の中で叫ぶが、彼らが悪気なく「ぜひ!」と頼み込んでくる姿を見ると、あまりに申し訳なくて断れない。
席に戻ってからも、「私がスピーチなんて荷が重すぎる…」と動揺が収まらない。そもそも何を話せばいい? 新郎新婦との思い出話? それとも祝福の言葉を端的にまとめる? 台本など用意していないし、まさかこの展開になるなんて想像もしていなかった。考えはまとまらないまま、司会者に名前を呼ばれる。
マイクを手にし、スポットライトを浴びた瞬間、心臓が爆発するかと思うほどドキドキして言葉が出ない。周囲が静まり返り、私をじっと見つめている気がして、「えー、えーっと…」と繰り返すだけで数秒が過ぎる。頭が真っ白になって何も浮かばず、口先だけは笑顔を取り繕おうとするが、身体は小刻みに震えている。
どうにかしようと必死に口を開くが、何を言っているのか自分でも分からないほど支離滅裂。途中で新郎新婦の名前を噛んだり、「本当に、おめ、おめでとうございます…」と変に間延びしたり、まるでテレビの放送事故のような空気感が生まれる。優しいゲストたちは微笑んで受け止めてくれているつもりだろうが、その静かな視線に耐えられなくて、さらにテンパってしまう。
結局、短いコメントをしてマイクを置いたものの、席に戻ったときには恥ずかしさと罪悪感で顔が熱くなっていた。「なんであんなこと言ってしまったんだ」「もうちょっと事前に考えればよかったんじゃ…」と頭の中で自分を責め続ける。お祝いの場を白けさせてしまったんじゃないか、皆から「なんであんな人に頼んだの?」って思われていないか――そんな不安で胸がいっぱいになり、披露宴が終わるまでずっと落ち着かないまま過ごす羽目になった。
人見知り・コミュ障ゲストへの具体的対処法(控えめバージョン)
ここからは、少しだけ心を楽にするために私なりのアドバイスをまとめてみた。
どれも完璧な解決策というわけではないけれど、ちょっとした工夫で結婚式の負担を軽くできるかもしれない。
事前に会場や進行をざっくり把握しておく
会場の広さや席の配置、当日の流れを把握しておけば「次は何をすればいいんだろう」という不安が減る。
ホームページや招待状の案内をチェックしておくと安心感が増す。
「一緒に参加する友人」と予定をシェア
事前に友人と隣の席になるよう主催側に相談してみたり、当日合流する時間を決めておく。
会場でひとりきりにならないように同盟を組めると、心の支えが大きい。
トイレやロビーでの休憩を遠慮なく
長丁場の場合は、合間を見て積極的に席を離れてリセットする。
適度な休息があるだけで、緊張やストレスでいっぱいになるのを防ぎやすい。
二次会は無理をしない
「二次会まで参加したら、もっと楽しめる」という声を耳にするけれど、すでに披露宴だけで精一杯なら断ってもいい。
身体的・精神的な限界を超えないように、自分のコンディションを大切にしてほしい。
それでも参加が難しいと感じたら欠席しよう
たとえ友人や家族であっても、自分の体調や精神状態によっては参加が本当にしんどいこともある。そんなときは無理をせず、欠席という選択肢を検討してみて欲しい。
昔は結婚式は必ず参加していたが、今はほぼ100%近く断っている。
もちろん、直接伝えるのは勇気がいるし、「気まずいな…」「失礼にあたるんじゃないか…」と考えがち。けれど、苦しい気持ちのまま参加しても自分も相手もつらい思いをするかもしれない。
大切なのは、「お祝いの気持ち」はちゃんと伝えること。メッセージカードやギフトを贈る、後日あらためてお祝いの言葉を伝えるなど、手段はいくらでもある。
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